アミカシンは非定型肺炎に効きますか?
本日の介入
研修医の先生と話していて、市中肺炎の症例にアミカシンがプラスされている。どういう意図か聞いてみたところ、非定型肺炎カバーに上の先生から指示された、とのこと。うーん・・・。
アミカシンは非定型肺炎に効かない
非定型肺炎というと、頻度が高いもので、マイコプラズマ、クラミドフィラ、レジオネラなどがターゲットになると思いますが、これらにアミカシンが効くかというと、効果はなさそうです。`
非定型の中では、唯一非結核性抗酸菌症に使うことはありますが、これはよくある市中肺炎とは言い難いでしょう。
アミカシンの使い所は?
アミカシンはグラム陰性桿菌のスペシャリストです。緑膿菌から、ESBL産生菌まで幅広くカバーしていることが多いです(要感受性確認)。一方嫌気性菌や、グラム陽性球菌には弱いです。なので、使い所はβラクタム系がなんらかの理由で使いにくい場合の尿路感染でしょうか。
また、個人的には、第二、第三世代セフェムに、菌種判明までの間エンペリックに数日足して、カルバペネムなど広域の抗菌薬を避ける使い方も好きです。
アミカシンの注意点
アミカシンは当たれば、効果抜群ですが、好かない医師が多いです。
その理由として一番あるのが、腎障害を起こしやすいイメージが定着していることだと思います。実際によく使うセフェム系や、ペニシリン系よりはリスクがあると思います。また、総投与量によっておこる、聴覚障害も注意が必要です。
投与量にも注意
アミカシンは書かれているものによって、投与量が若干違うので、注意が必要です。
添付文書
1回100~200㎎を1日1~2回
化学療法学会TDMガイドライン
10~20㎎/kg 1日1回
体重50kgで、500~1000㎎1日1回か・・
サンフォードガイドライン
15㎎/kg 1日1回
体重50kgで、750㎎1日1回。
添付文書少ないっ!って感じ。添付文書との差が大きくて、私も750㎎とか提案したいいものか思っていたこともありましたが、現在では特に気にせず提案しています。
私は化学療法学会TDMガイドラインでCcrと、体重をいれて、あとは重症度を医師と相談して、投与量を決めています。また、PKPD的には1日1回でドーンと血中濃度を高めて効果を発揮する薬剤なので、1日2回で推奨することはありません。
まとめ
- アミカシンは非定型肺炎に効果は期待できない
- アミカシンは尿路感染が得意
- アミカシンの腎障害や聴覚障害には注意
- アミカシンは1日1回投与がPKPD的には有用である
その後
アミカシンは終了し、結核否定的との見解でレボフロキサシンが開始になりました。