Streptococcus intermedius

本日の相談

膿胸の診断でドレナージしつつ抗菌薬治療中。喀痰ではグラム陽性球菌がしっかり見えたので、スルバクタム/アンピシリンを使用していたが、本日培養結果がStreptococcus intermediusと返ってきた。抗菌薬どうしようかな、という相談。

連鎖球菌の分類はなんだかややこしい

連鎖球菌の感染はペニシリンが効くんだから、別にStreptococcusの何さんでも抗菌薬は一緒!。アレルギーがあったら、バンコマイシンとか使うんじゃないの?と乱暴に覚えている自分ですが、少し頑張って考えてみよう。

Streptococcusの遺伝子配列による分け方

こちらが現在の主流らしい。遺伝子配列による分け方で、以下のように6グループになっています。

pyrogenic group,anginosus group,mutans group,mitis group,salivarius group,bovis group

この中でまず病原性が高くヤバイのが、pyrogenic groupに属する連鎖球菌(溶連菌なんかが当たる)であり、それに加えてmitis groupに属する肺炎球菌がヒトにとって危険な菌となります。実臨床でも培養から生えるのは、これらと口腔内連鎖球菌(anginosus)がほとんどです。

溶血性って?

連鎖球菌の話をするときにβ溶血とか、α溶血とかいう話があります。で、β溶血がなんかやばい、で覚えているわけですが・・・。何なんでしょう?。

溶血とは赤血球を破壊することです。で、その破壊性能が強力なのがβ溶血、次にα、溶血しないのがγで、β溶血を起こす菌が当然まずいということになります。

β溶血を起こすことで問題になるのが、先ほどのpyrogenic groupであり、その中にStreptococcus pyogenes(A群)、Streptococcus agalactiae(B群)、Streptococcsu dysgalactiae(G群)などがあります。A群、B群とかっていうのはLansfield分類で連鎖球菌の細胞壁にある群特異的な多糖体を目印にして分けています。anginosus groupの溶血性はβもαも混在している?。

で、intermediusって?

で、今回のintermediusなんですが、anginosusグループに属するやつで、基本的には口腔内にいるような弱毒菌なのですが、なんらかの原因で宿主の免疫が低下し、体内に侵入したりすると、様々な感染症を起こすことがありえます。intermediusは特に肝臓や脳に膿瘍が作ることもあるとのこと。

なので、膿胸の原因菌には全然なりうる!。

抗菌薬は?

intermediusの感受性試験ではほぼすべての抗菌薬がSになります。ならば、狭域のペニシリンGやアンピシリンでいいやん、ってなりそうですが、実際はそう簡単ではなさそうです。

https://bmcpulmmed.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12890-015-0128-6

30人ほどのデータですが、70%以上がカルバペネム、そのほかもセフェピム+クリンダマイシン、キノロン系+クリンダマイシンなど広域カバーの薬がほとんどです。

膿胸は、嫌気性菌、口腔内連鎖球菌(anginosus group)、黄色ブドウ球菌、腸内細菌が起炎菌となることがありえる。嫌気性菌がβラクタマーゼを出すことを考えると、アンピシリンのみでは少し役不足かもしれません。

どうなったか

一時アンピシリンのみで様子見てみようとなりましたが、その後白血球やCRPは再上昇に転じたので、(誤嚥したのかもしれませんが)、タゾバクタム/ピペラシリンに変更し、ドレナージと合わせて2週間程度治療して終了となりました。

感受性が良くても膿胸だと、抗菌薬が狭すぎるのは少し危険かな、と思った例でした。

ところで、膿胸は胸腔内に膿ができる状況、肺膿瘍は肺実質の壊死により起こるので、似たような菌が原因菌になりますが、場所が外か中かで違うようです。

taku

シェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


コメントする