尿路感染に抗菌薬よろしく

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本日の相談

バルーン挿入中の90歳台の寝たきりの患者さん。腎盂腎炎でセフメタゾールを開始したが、開始2日目で採血データは悪化している。結石がつまっているので、それによるものかもしれないが、意思疎通できない寝たきりの方でもあり、ステント挿入も検討しているものの、まずは抗菌薬で様子見たいが何がいいか、という相談。

検討

尿路感染で、セフメタゾールが効いていないとなると、重症のESBL産生菌による腎盂腎炎か、緑膿菌など、セフメタゾールが効かない菌による感染なのかもしれない。または、この症例の場合結石がつまっていて抗菌薬は、結局なにをいってもだめかもしれない。

ただ、開始2日目であり、まだセフメタゾールがだめ、とは断定できない。尿路感染は正しい抗菌薬を投与していても、3日くらいは発熱があるものだからだ。

しかし、発熱が続くことに加えて、白血球の上昇やCRPも悪化、左方移動も見られる。脱水もやや進行と、よくなっているデータが見当たらない。

週末に入ることもあり、主治医と相談し、ここはいったんESBL産生菌も緑膿菌もしっかりカバーできるメロペネムにescalationすることになった。

メロペネムの効果を最大限に出すには?

最後の切り札を投入することになったからには、腎機能が許容する最大の投与量を入れたいところ。

Ccrは20から30ml/minくらいである。サンフォードガイドラインでいくと1回1g1日2回だ。他には1回0.5g1日4回や1回1g(3時間かけて)1日3回、という方法がある。メロペネムは時間依存性抗菌薬なので、ピーク濃度にこだわる必要がなく、MIC以上の濃度を維持できる時間が長い方が有利である。今回は1回0.5g1日4回で投与することになった。

経過

メロペネム変更後翌日は熱がありましたが、翌々日から解熱し、メロペネム開始4日後には白血球も正常範囲内まで低下しました。

意外な培養結果

メロペネム開始4日目の時点で血液培養、尿培養ともにKlebsiella pneumoniaeが検出されました。これは起炎菌で間違いないでしょう。尿路感染の一番頻度の多い起炎菌は腸内細菌(E.coliやKlebsiella)だからです。感受性は最初投与していたセフメタゾールやもっと狭域のセファゾリンでも感受性はSになっていました。

ということは、最初の抗生剤(セフメタゾール)を続けていたとしても、効果があったかも、、、ということになります。

その後

経過も良好であったので、セファゾリン1回2g1日2回にDe escalationし、2週間投与して終了となりました。

まとめ

非ESBLの腸内細菌が起炎菌で、メロペネムもセファゾリンも感受性がある場合、メロペネムの方が殺菌力があって有効っていうデータは見たことがありません。感染フォーカスも決定していて、菌もわかっている場合は狭域抗菌薬であるセファゾリンを検討すべきだと思います。

また、やっぱり狭めのスペクトルの最初の抗菌薬でいけたかも、っていうのは時々ありますが、まぁ一般の市中病院でリソースが限られている状況でescalationに至るのは仕方ないかな~と思います。

taku

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