入院中に非定型肺炎はありますか?

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本日の相談

長期入院中の方の肺炎でタゾバクタム/ピペラシリンで治療中だが、経過が芳しくない。抗菌薬変更を考えている。VAPなのでメロペネムとバンコマイシンにしてみようと思うが、この場合非定型肺炎カバーでマクロライド系などの追加は適当でしょうか?、という相談。非定型の肺炎、例えばクラミドフィラやマイコプラズマは、細胞壁がないので、細胞壁を阻止する抗菌薬では対応できない。細胞の中に入って増殖を抑止するタイプの抗菌薬が必要になってきます。

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主に普段扱う非定型肺炎は、マイコプラズマ、レジオネラ、クラミドフィラ、といった所でしょうか。

  • マイコプラズマ・・・飛沫感染と接触感染だが、感染が成立するには濃厚接触が必要。
  • レジオネラ・・・菌が人工的な水循環設備(循環式浴槽、冷却塔、給湯設備など)中に侵入、繁殖し、それらの施設から発生するエアロゾルを吸入することで感染する(空気感染、飛沫感染)。 ヒトからヒトに直接感染することはない。
  • クラミドフィラ・・・飛沫感染でヒトからヒトへ伝播する。高齢者施設でのアウトブレイクもありそう。

※参考

  • 飛沫感染・・・大き目の粒子でくしゃみの範囲くらいでそんなに遠くまで飛ばない感染経路
  • 空気感染・・・小さくて空気にのって広がる感染経路
  • 接触感染・・・手で触ったものをまた触るなどで、感染が広がる経路

長期入院の場合ありえるか

  • マイコプラズマ・・・濃厚接触、はあまりなさそう。
  • レジオネラ・・・病院の冷却設備がレジオネラで汚染されてたら、大ニュースになっちゃいそう。
  • クラミドフィラ・・・医療者が不顕性感染してたら、ありえるかもしれない。

クラミドフィラの線でもう少し調べてみる。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16278441/

ケアミックス病院のような、長期療養施設と病院がつながっているような施設で、142名中、48人がクラミドフィラ肺炎になったというケースレポート。病院は8人と数はすくなかった。また、職員なども感染例があったとのこと。

自分なりの結論

ほとんどないだろうが、絶対ないわけではない!。

内科の先生に聞くと、以前一例入院中だけどクラミドフィラ肺炎の人がいたよ、とのこと。

周囲で、咳してる人が多いとか、風邪が流行っているとか、そういう背景があれば調べてみてもよいかも!と思いました。

ま、でも今の時代はまずCOVID‐19のクラスター除外から、ということになるでしょうが・・・。

taku

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