尿路感染に何いきましょう?

最終更新日

Comments: 0

本日の相談

施設にいる方が発熱で入院。検査の結果、尿路感染疑い。ただ胆石もあり、胆管炎や胆嚢炎はなさそうだが、ちょっと心配かも、という80歳台の患者さん。抗菌薬何にするか?。

情報を整理

施設の患者さん。糖尿病など免疫を下げる基礎疾患はない。
2ヶ月前に胆石性膵炎で入院し、加療した。その時血液培養からproteus mirabilisが出ていた。
その菌は、各種抗菌薬に対して、感受性はかなり良好。Ccrは30ml/min程度。

菌を予測

前回は耐性菌ではなかったので、感受性のよい大腸菌やクレブシエラを第一に考えるが、直近に入院歴があるので、ESBLなど耐性化している可能性はある。また、胆道系感染を意識して、大腸菌やクレブシエラ以外にも嫌気性菌もカバーしておくかどうか?。

抗菌薬を考える

ショック状態ならメロペネムやタゾピペでも良いだろうが、これから上がるかもしれないけど、まだCRPとかWBCは低い。主治医の意見も、そこまで広域はまだよい、とのことなので、それ以外でメニューを考慮。

まぁ、尿路感染なのだから、大腸菌とかクレブシエラ、ESBL化まで考えて、セフメタゾールが、自分が進めるスタンダードだが、主治医の言い方から、これからまぁまぁ悪化しそうな雰囲気もあるので、もう少ししっかりめに、と考えると・・・、やややりすぎかもしれないが、スルバクタム/アンピシリン+アミカシンを思い浮かべた。

スルバクタム/アンピシリンで、大腸菌やクレブシエラはいける。嫌気性菌や腸球菌も大体OK。

アミカシンで、ESBL産生菌から緑膿菌まで叩ける。

アミカシンは腎臓大丈夫?

高齢者ではアミカシンは腎障害のリスクはありますが、自分が尿路感染にエンペリックに提案する場合は、De escalationする前提で3~5日以内です。この短期間では、リスクよりメリットの方が大きくなる場合があるのではないかと考えています。

近年アミノグリコシドの併用に関しては厳しい意見がふえている

短期間でもアミノグリコシドの併用は意味がなかった、ような報告が最近は増えていて、あまり私も併用はすすめなくなってきている最近です。しかし、時と場合にはありだとは思ってます。

その後

消化器内科にコンサルトし、胆道系感染は否定。スルバクタム/アンピシリン3g1日3回+アミカシン400mg隔日で開始。順調に改善し、投与5日後に尿培養が感受性の良い大腸菌と判明。セファゾリン1g1日3回に変更し、7日目でさらに内服のセファクロル250mg1日4回に変更し、10日目で抗生剤終了となりました。

ちょっとエンペリックセラピーは大判振る舞いであったかもしれません。セフメタゾールで開始して、セファゾリンでもよかったかもしれない、と思った症例でした。

taku

シェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コメントする