INRが8!?

本日の介入

いつもの注射用抗菌薬1週間以上投与患者チェックでの出来事。セフメタゾール1週間目の症例。心疾患メインで入院したものの、フォーカスはよくわからないけど、入院時に白血球とかCRP高かったのでなんとなく入ったという抗菌薬投与理由でした。バイタルやデータ的にも、これは、そろそろやめてみてもいいのでは?、という内容だった。

そう思って、Drの記事をチェックしていると、INR上昇に悩んでいる様子。ワーファリンとかいきすぎたのかな?、と思ってい薬歴をチェックしてみると、あれ?、投与していない。これはまさか・・・セフメタゾールの副作用かも?。

抗菌薬でINRが上がって出血傾向になることがある!

あまり薬剤師以外の人には知られていないのですが、抗菌薬で出血傾向になることがあります。腸内細菌を死滅させることでビタミンKが産生されなくなることで起こるので、どんな抗菌薬でも起こりえるのですが、特にセフェム系でも、その構造にNMTT(Nメチルチオテトラゾール)基を持つ抗菌薬は、プロトロンビン合成阻害作用もつのでリスクが高そうです。

NMTT基を持つ抗菌薬には、セフメタゾールや、ラタモキセフ、スルバクタム/セフォペラゾンがあります。

ビタミンK欠乏症とは

血液が固まる時に肝臓で作られるプロトロンビンなどの生成はビタミンKがないとできません。ですから、ビタミンKがなんらかの理由で欠乏してしまうと、出血時間が延長してしまうことがあります。

メカニズム

NMTT基が凝固因子合成過程で、ビタミンK利用障害作用がある。
次に抗菌薬によって腸内細菌が死滅→腸内細菌によるビタミンK産生が低下。
感染によってしんどかったりすると、ご飯が食べれていないので、ビタミンK摂取が少ない。

などの理由が合わさって発症すると思われます。なので、自分はセフメタゾールが少しながくなってきた患者さんで、食事量が少ない人を見つけたら特に注意するようにしています。

対応策

ビタミンK製剤を投与すればすぐに改善します。

ケイツーとかですね。

青木眞先生の、感染症診療の原則にはセファマイシン系やスルバクタム/セフォペラゾン投与時には、週1回程度のビタミンKの投与が推奨されています。

どうなったか

セフメタゾールは投与している理由がはっきりしなくなってきていたので一旦中止。熱が出たり、白血球が上がってきたりすれば、また感染フォーカスから考えたらよいでしょう。その後、すぐにビタミンKの点滴を一回うつことになりました。その後採血データを確認すると、そのあとすぐにINRは改善し、事なきを得ました。

taku

シェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コメントする