血液培養でG群Streptococcus

本日の介入

広域抗生剤セフェピムを投与中の方。血液培養でG群連鎖球菌が4本中4本出たと検査部からが連絡あり、それはDe escalationできるかもしれない、と思って検討をすることに・・・。

カルテを見てみると・・・

80歳台の女性、施設入所中の方の発熱&食欲不振で入院。カルテには肺炎や尿路感染を疑うが、明確にはフォーカス不明とある、との記載・・・。抗菌薬はセフェピムを開始して1週間ほどだが、熱型、意識レベル、白血球、CRPなどすべてのデータが改善傾向である。

De escalationするにあたっては、感染フォーカス不明であることが気になる。

感染フォーカスが判明し、必要な処置がなされ、先行抗菌薬が効いている場合であれば、自信をもってDe escalation提案できるが、そうでない場合は、不確定要素があるということなので、主治医の先生とよく話し合う必要がある。

G群Streptococcusはどこが好き?

亀田病院の報告「G 群溶血性連鎖球菌菌血症 104 症例の臨床的特徴および市中発症群と院内発症群の臨床的特徴の比較」によると、G群連鎖球菌のフォーカスは、

市中感染であれば、皮膚軟部組織感染症が68.5%、フォーカス不明菌血症が10.9%、骨髄炎が6.5%、関節炎が4.3%、感染性心内膜炎が2.2%、肺炎、尿路感染は1.1%となっている。
院内感染になると全く違う結果で、皮膚軟部組織感染症が8.3%、フォーカス不明菌血症が66.7%、うち発熱性好中球減少症が25%となっている。

フォーカス不明というのは、心配な気がしますが、実際にMSSAの菌血症でもフォーカス不明であることも時々あり、感染性心内膜炎や骨髄炎がないかなど、(抗菌薬が長期投与必要な疾患がないか)、大事なことだけ調べて特に問題なければ(抗菌薬が効いて入れば)、それはそれでOKなのです。

アセスメント

上記を踏まえて、今回の症例を考えていると・・・、

  • G群連鎖球菌による菌血症は確実にある。
  • フォーカスは不明(肺炎ではない、尿路感染でもない、蜂窩織炎など皮膚感染もない)。不明であってもいい菌みたいだ。
  • ただ感染性心内膜炎は調べていない→可能性は低そうだが一応心エコー提案。
  • 抗菌薬は緑膿菌までの広域はいらないのではないか。アンピシリンかもう少し広めというなら、スルバクタム/アンピシリンでどうか?。

という所で、心エコーをとって、スルバクタム/アンピシリンにDe escalationとなりました。

その後

順調に改善し、心エコーも疣贅なし。内服のアモキシシリンに変更となり、合計2週間で投与終了となりました。

まとめ

G群連鎖球菌が血液培養から出た場合は、

市中感染ならほとんど皮膚軟部組織感染かフォーカス不明菌血症。

院内感染であれば、菌血症か発熱性好中球減少症。

taku

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