血液培養からStenotrophomonas maltophilia
本日の相談
胆管癌があり、胆管炎を時々起こしている方。今回も胆管炎とのことで、メロペネムを先行投与していたが、血液培養でグラム陰性桿菌が陽性になり、本日培養結果が判明し、Stenotrophomonas maltophiliaであった。抗菌薬はどうしましょう?、という相談。
S.maltophiliaという菌は
- カルバペネム系抗菌薬が耐性の細菌
- 院内の水回りにいてる環境菌
- 広域抗菌薬をさんざん使った後に出る印象
- 感染フォーカスは何が多いのだろう?・・・自身の経験では肺炎とかカテ感染かな?。
S.maltophiliaの感染フォーカスは?
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27495046/
韓国からの報告によると、
中心静脈カテーテル感染24.6%、肺炎33.8%、胆道感染22.5%
となっています。
・・・・グラム陰性桿菌だけど、尿路感染はあまりないんやな。
もう一度患者に戻る
胆管癌があって、胆管炎を繰り返している⇒胆道感染の原因菌としてはありそう。
おっと、CVも入っていた⇒CV感染もありえる。
CTや呼吸状態から肺炎はなさそう。
というわけで、胆道感染±カテーテル感染⇒じゃあCVカテーテルの交換もしてもらわないとだめだ。
抗菌薬は?
Stenotorophomonas maltopphiliaといえば、カルバペネム自然耐性で有名なので、現在の抗菌薬はだめだ。ST合剤やミノマイシンが感受性あり使われることが多い。あとは時々レボフロキサシンが感受性あるかも、という所。
血液培養の感受性を確認してみると、ST合剤、ミノマイシン、レボフロキサシンどれも感受性があった。今回はレボフロキサシンを選択となりました。一般的には第一選択は、ST合剤なのですが、今回主治医が使い慣れたレボフロキサシンが選択となりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24145530/
一応レボフロキサシンでもST合剤に非劣性を示す報告はありました。
ただ、感受性がSになっている確率がレボフロキサシンが一番悪いので、きちんと確認しないといけないと思います。
どうなったか
CV交換を提案
抗菌薬は、レボフロキサシンを追加し、その後数日してデータ改善を待ってメロペネムが終了し、レボフロキサシン単剤で治療となりました。
しばらく併用したのは、その2週間前はESBL産生Klebsiellaが血液培養から出ていたのと、胆道感染であることもあって、嫌気性菌のカバーがやや不安なレボフロキサシンのみにいきなり変えるのは大丈夫か?、という考えがあったためでした。
結局レボフロキサシンを2週間投与して今回は終了となりました。