バクタ/バクトラミンの投与について
ニューモシスチス肺炎の時は通常の3倍!
ニューモシスチス肺炎のファーストチョイスはST合剤のバクタだ。点滴であればバクトラミンで、バクタ1錠=バクトラミン1アンプルで考えてよい。バクタは通常尿路感染などに1回2錠1日2回で使うが、それは本気の投与法ではない。ニューモシスチス肺炎の時は、なんと1回4錠1日3回と使うこともある。3倍の投与量で驚くが、添付文書や各種ガイドラインにもその方法が書かれており、間違いではない。ニューモシスチス肺炎ならば、自信をもって提案して良い。
正確な投与量
添付文書には、トリメトプリムとして1日量15~20mg/kgを3回に分け、1~2時間かけて点滴静注する、とある。
なんやねん、それ、って感じですね。通常他の抗生剤は1回1gを1日3回とかなのに・・・。
まずは、バクトラミンの組成を考えないといけません。1アンプル中に、トリメトプリムとして80㎎、スルファメトキサゾールとして400㎎が入っています。このトリメトプリムが、投与量決定に必要です。
例 50kgの患者さん
トリメトプリムとして、1日750㎎~1000㎎。
1A中にトリメトプリムとして80㎎、スルファメトキサゾールとして400㎎なのだから、
1日9(720㎎)~12(960㎎)アンプル。
これを1日3回に分けるとあるから、1回3~4アンプルを1日3回となります。
溶解液の量にも注意
バクタを飲むだけなら、1回3錠1日3回でそれで終わりです。粉砕も簡易懸濁も可能です。
ただバクトラミンとして点滴でいく場合、溶解液の量にも注意が必要です。添付文書には、
5%ブドウ糖注射液又は日局生理食塩液を使用し、1アンプルあたり輸液125mLの割合で十分に混合して用いること。なお、溶液の注入量に制限がある患者には本剤1アンプルあたり日局5%ブドウ糖注射液又は日局生理食塩液75mLに混合すること。
とあります。なので、1回3アンプル1日3回投与する場合には、1回につき375mL以上の生食または糖液が必要になります。水分をあまりいれたくない時でも、最低225ml以上必要です。実際のオーダー例は、
バクトラミン 3A
5%糖液 250ml~500ml を1~2時間かけて、間隔は8時間ごと、になると思います。
作成してからの時間にも注意が必要
溶解してからの時間にも注意が必要です。看護師さんは、決まった時間に作って置いていることがあります。
1アンプルを生食または5%糖液75mlに溶解した場合には、2時間以内。125mlに溶解した場合には、6時間以内に使用を終了すること、とあります。
6時間なら大体大丈夫そうですが、2時間は結構シビアな気がします。なので例として、75mlの時には、
バクトラミン 3A
5%糖液 250ml を投与直前に作成し、1~2時間かけて投与、間隔は8時間ごと、になると思います。
腎不全時の投与量
バクタ/バクトラミン
(トリメトプリムとして80㎎、スルファメトキサゾールとして400㎎)
サンフォード
Ccr>50~90・・・トリメトプリムとして5~20㎎/kg/日を6~12時間ごとに分割
Ccr 30~50・・・トリメトプリムとして5~20㎎/kg/日を6~12時間ごと分割
Ccr 10~29・・・トリメトプリムとして5~10㎎/kg/日を12時間ごとに分割
10>Ccr・・・推奨されないが、使用する場合はトリメトプリムとして5~10㎎/kg24時間ごとに
透析・・・推奨されないが、使用する場合はトリメトプリムとして5~10㎎/kg24時間ごと・透析日は透析後
腎機能別薬剤投与量POKETBOOK
Ccr>30・・・・減量の必要なし
Ccr 15~30・・・通常の半量
15>Ccr・・・一般感染症には推奨されず、一例として1日1回6錠(アンプル)
透析・・・一般感染症には推奨されず、一例として1日1回6錠(アンプル)・透析日は透析後
まとめ
バクトラミン/バクタを投与する場合は
- 通常1回2錠1日2回だが、ニューモシスチス肺炎を相手にする場合には、1回4錠1日3回となる。
- 点滴の場合は1アンプルにつき75ml以上の生食か5%糖液が必要。
- 溶解後は1アンプル/75mlで作成した場合は、2時間以内に使用。
- 腎機能に応じて減量が必要、腎機能が悪いと推奨されない場合もある。