メロペネムが効きません!
本日の相談
メロペネムを投与しているが、白血球とCRPが増悪、あまりよくなっていないようである。フォーカスはよくわかっていなくて、肺炎も尿路感染もありそう。次の抗菌薬どうしましょう?という相談。
メロペネムが効かないということは?
まず、本当に効いていないのか?、という所。
次に、他のばい菌が原因の可能性。
次に、感染症じゃない可能性。
次に、感染症だけど抗菌薬じゃ治らない可能性。
など、私は考えるようにしています。
本当に効いていないのか?
熱、白血球、CRPだけで感染症の趨勢を見るのは、抗菌薬適正使用においてエラーのもとになる。経過で、良くなっていても上がったり、横ばいであることもあるからだ。例えば、ショック状態でむしろ白血球が低くて改善とともに上昇した所を見ているかもしれないし、尿路感染は3日間は熱は出てもおかしくはないし、肺炎球菌の肺炎であれば菌は死んでも炎症はしばらく遷延することがある。意識レベルが改善していたり、肺炎であれば酸素量が減っていたり、尿路感染であれば尿中の菌が消失していたりとかを確認します。
他のばい菌は?
メロペネムといえば通常相手にする細菌はほとんどカバーできる。しかし、すべてではない。何があるだろう?。
- ウイルス
- 真菌
- MRSA、腸球菌
- Stenotorophomonas maltophilia
- カルバペネム耐性緑膿菌や、カルバペネム耐性クレブシエラなど多剤耐性菌
- クロストリジオイデスディフィシル
- 寄生虫
- 結核など抗酸菌
- 非定型肺炎(マイコプラズマ、クラミドフィラ、レジオネラ)
- 性病の原因菌(クラミジアなど)
- フラボバクテリア
- コリネバクテリウム
- エアロモアスの一部
感染症でない可能性は?
感染症と思ったから抗菌薬が開始になったわけで、中々薬剤師の立場からは言いにくい所。でも薬剤熱の疑いとかは進言してみてもいいと思う。
- 薬剤熱
- 偽痛風
- DVT
- 癌
- 自己免疫疾患
- デバイス
- 褥瘡
感染症だけど抗菌薬が効かない
- 嚥下機能が低下し、誤嚥をずっとしている。
- 末期の癌が原因で、感染がおこっている。
- 大きなばい菌の塊があり、外科的に取り除かなければならない。
まとめ
抗菌薬適正使用のためのASチームですから、メロペネムが効かないと相談があったからといって、安易にバンコマイシン追加、ファンガード追加、ミノマイシン追加、デノシン追加、みたいなことにはしたくないです。きちんと、理由があって、必要があれば検査を追加して、始めた抗菌薬をやめるタイミングも考えてから、バンコマイシン追加なら、良いと思いますが、フォーカスや菌に対する考えなしに、ただ広げる、はいけません。
ただ、このような問題に対して、薬剤師一人でできることが限られてるので、抗菌薬ラウンドの時にカンファレンスなどでAST担当の医師を交えて話すのが一番良いと思います。しかし、そんな環境でない人もいるだろうから、そんな場合は・・・孤軍奮闘?。話し合える主治医から関係構築していくしかないかもしれない。