ESBL産生菌に何を使いましょうか?
本日の相談
新任の先生から、ESBL産生菌に抗菌薬何がおすすめか?と聞かれる。院内のアンチバイオグラムを見直して考えてみた。ESBL産生大腸菌とESBL産生クレブシエラではちょっと感受性が違う。
カルバペネム以外は何が選択肢だろう?
ESBL産生菌に絶対的な抗菌薬はメロペネムなどカルバペネム系で、重症感染症であれば、何も異論はない。ただ、腸内細菌というのは、尿路感染など、日常よく目にする感染の起炎菌になる菌であり、いつもカルバペネム系抗菌薬を使っていれば、耐性菌だらけになるのでは?という懸念がある。
なので、重症でない場合は、その他を推奨したい所です。
自院のアンチバイオグラムでは何がSusceptibleか(有効性が期待できる)
ESBL産生大腸菌
- セフメタゾール
- ラタモキセフ
- スルバクタム/セフォペラゾン
- ゲンタマイシン/アミカシン
- ホスミシン
- ミノサイクリン
ESBL産生クレブシエラ
- セフメタゾール
- ラタモキセフ
- ゲンタマイシン/アミカシン
- クラビット/シプロフロキサシン
その中から何を選ぶ?
エビデンスもあって、βラクタム系で一番使いやすいのが、セファマイシン系のセフメタゾールやラタモキセフと思う。また、緑膿菌をケアする必要がある時や、年齢が80歳未満で、腎機能に問題のない尿路感染ならば、ゲンタマイシンやアミカシンも良い選択だと思う。ミノマイシンも内服でも切り替えも可能なこともあって、使い過ぎの耐性化には注意しないといけないが、良い選択肢となりえる。
内服ではどうだろう?
100%コレってものはない。
上にでたミノマイシンや、あとは実際の培養の感受性を確認しながら、バクタやホスホマイシン、時にペネム系を検討といった所と思う。
まとめ
ESBL産生菌にカルバペネム以外を考える時は、
- まずは患者さんに余裕があるかどうか主治医の話を聞く
- 培養をとって感受性を確認
- セファマイシン系をまずは考慮(セフメタゾールやラタモキセフ、フロモキセフ)
- 内服では感受性を確認して、バクタやミノマイシンを考慮
- モニタリングして、効いていそうにない場合はカルバペネムを推奨する