カンジダのカテーテル感染はルートを抜去してください
本日の事案
不明熱で、メロペネム投与中の方。血液培養でカンジダが出たと検査室から報告がASTにもあった。これは非常事態だ。血液という無菌であるはずの所から、カビが生えた=真菌血症の状態だからだ。また細菌ではなく真菌が起炎菌となる感染は、患者さん自体も弱っていることが多く、予後が悪いことが多い。
カンジダ血流感染のバンドル
化学療法学会から、ACTION BUNDLEというのが提唱されていて、血液培養からカンジダが出た際はやることは決まっている。
- 血液培養2セット採取
- β-D-グルカン測定
- 早期の中心静脈カテーテル抜去
- 適切な初期治療の開始
- 眼病変の有無の確認
- 症状の改善と血液培養の陰性化を確認した後2週間の抗真菌薬投与
- 病状が安定した場合の経口薬へのStep-downを検討
よくあるASTからの提案事項
真菌感染ですから、抗真菌薬はミカファンギンなどがすでに投与されていることが多いです。なので、その他のことを提案することが多い。
眼科的検査、抜いてなかったら中心静脈ルート抜去
血液培養をもう一度とる、陰性確認した日から2週間以上の投与期間
などを提案することが多いです。また一般的には、
Candida albicans・・・フルコナゾールOK
Candida grabrata,Candida krusei・・・フルコナゾールだめ
Candida parapsilosis,Candida guillermondii・・・キャンディン系が効きにくい
Candida lusitaniae・・・アムホテリシンBが効きにくい
(一般的に、であって実際の感受性はSになることもRになることもあるので確認必要)
というのがあるので、血液培養の結果によっては抗真菌薬の選択にも注意が必要です。
今回の症例
中心静脈栄養のルートがあり、2週間前に末梢困難で留置後であるが、抜去はされていない。現在メロペネム投与中だが、熱や採血データを見ると全く効いていないようだ。抗真菌薬が投与されているだけ、それもフルコナゾール50㎎とやや少ない・・・。
不十分な治療と考えて、フルコナゾールを400㎎1日1回に増量、CV抜去をまずは提案。その後、眼科的検査や、血液培養再検査を提案することとなりました。真菌はCandida albicansで、フルコナゾールに感受性Sでした。
まとめ
- 血液培養から真菌が出た場合、中心静脈が入っていれば必ず抜去、血液培養陰性確認後2週間投与、抗真菌薬の投与法など、見逃しがちなルールが多い。
- 真菌血症は慣れていない医師も多く、ASTの介入が役に立つことが多い。