ペースメーカーの感染ですが・・・

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本日の相談

ペースメーカーの感染で、セフトリアキソンで治療しているが、経過が芳しくない。もう入院も長くなってきたし、広域なので一気にいきたい。何かおススメのある?。

という、いつもの傍若無人な御方からのご相談。

状況

カルテもあまり書かれておらず情報収集できない。ペースメーカーを交換、その前から白血球もCRPも高めで、セフトリアキソン1週間いってるけど、あまり改善ない70歳台後半の女性。誤嚥を起こしているのかもしれない?とのこと。

入院も長くなってくると抗菌薬適正使用も大事だけど、早く治して退院させたい、という気持ちはわかる。

しかし、広域で一気に行きたいから、メロペネム?、で良いのか。まずは色々と調べてみる。

起炎菌は何が多いのか?、投与期間は?

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4856529/

ペースメーカーの感染というと、皮膚からの関連した感染だから、起炎菌はグラム陽性球菌が多いと容易に想像できる。実際に↑のレビューでは、CNSが42%、MSSAが25%で、これだけで、7割弱を占める。次いでグラム陰性桿菌が9%、MRSAが4%、あとは起炎菌不明、となっている。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6071306/

抗生剤の投与期間は、感染性心内膜炎になっていれば、4-6週になるが、なっていなければ長くても2週間といった所か。

考察

セフトリアキソンを投与ししていたということは、MRSA以外のグラム陽性球菌は大抵カバーできていたはずである。また、セフトリアキソンは大腸菌などグラム陰性桿菌も、ある程度カバーできる。それで効いていない、とすれば、次の狙いはMRSAやEnterobactorや緑膿菌のカバーが必要かもしれないということになる。嫌気性菌とカンジダは通常起炎菌とはなりにくい。となれば、

一番広域なのが、

緑膿菌まで狙える薬として、メロペネムor セフェピム orタゾピペ

MRSAを狙って、バンコマイシン

ということになる。メロペネム、タゾピペとセフェピムの違いは主に腹腔内感染で、嫌気性菌を狙うか、ESBL産生菌をターゲットにするかどうかの違いである。セフェピムはそちらに対してはちょっと弱い。

だが、今回はペースメーカー感染なのだから、ESBL産生菌や嫌気性菌は原因菌になりにくい。MRSAを狙ってのバンコマイシンは必要かもしれないが、患者の状態が落ち着いていれば次の一手でもどうだろうか、と考える。

待つ余裕がなければ、メロペネム+バンコマイシン、余裕があればセフェピム、その間ならセフェピム+バンコマイシンなどどうか・・・。と、そこまで整理して、主治医と相談。

どうなったか

相談の結果、まずは、セフェピムに変更して様子みてみようとなった。患者さんは今ショック状態でここで抗菌薬を外したら亡くなる、というわけではなかったからだ。それで効果なければ、次にメロペネムやバンコマイシン考慮となった。

その後、順調に経過し、10日間投与で改善し、終了となった。心エコーの結果、感染性心内膜炎でもなかった。結局起炎菌は不明だったので、セフトリアキソンが効いてなくて、セフェピムがなぜ効いたのかわからない。カバー力にはグラム陽性球菌の方はセフトリアキソンでもセフェピムでもカバー力は同じだから、いわゆるSPACE(セラチア、緑膿菌、シトロバクター、エンテロバクター)などにセフェピムが効果あったのかもしれない・・・。

taku

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